【質問と解答】

Q:当方、青年誌の作家さんのもとでアシスタントを始めて一年ほどになる者です。職場で、作家さんからセクハラを受けて悩んでいます。アシスタントに入り半年経った頃、作家さん(男性独身)から交際を申し込まれ、お断りしたところ、作業中に明らかな八つ当たりやイヤミが増えました。「お前が交際に応じないから仕事をやる気が起きない」と常にイラついている雰囲気の中、同室で仕事をしています。言葉だけでなく、突然抱きつかれたことも数回あります。アシスタントを辞めないのは、泣き寝入りは嫌だからです。雑誌の編集さんにも相談したいのですが、漫画家の閉塞した作業環境でよくある内輪揉めという扱いを受けそうなのと、問題がデリケートなだけにかなり言葉にするのに覚悟がいる、というのが現状です。編集側としては、無名のアシスタントから連載作家さんへこのようなクレームが入ったらどのように感じ、対応するものなのでしょうか?

A:作家は出版社の社員ではなく個人事業主(法人化している場合は漫画制作管理会社の経営責任者)であり、法的に言えば作家と出版社は漫画原稿という商品をめぐる取引先でしかないのです。ですから、編集部が「他会社」である作家のスタジオ内でのセクハラ行為の調査をしたり調停をしたりする権利も義務もありません。あなたが編集部の新人作家であり、担当編集の紹介を受けてアシスタントになったのであれば、作家とあなた共通の知人として話し合いに立ち会うことはできますが、それも冷静な話し合いのための緩衝材としてであり、双方の主張に裁定を下すことはできません。そもそも、そんな状況でアシスタントを辞めない理由が私にはわかりません。泣き寝入りは嫌だと言いますが、では具体的にどうしたいのでしょうか? 法的な手段に訴えるのであれば弁護士にでも相談するべきですが、仕事場に第三者がおらず行為の証明ができないのであれば、本人が認めない限りセクハラ・パワハラの認定は難しいのではないかと考えます。