【質問と解答】

Q:自分のマンガに対して面白いと思えるものを作れる頻度は上がったのですが、まだ描きたいと思えるまでに達することができません。自分自身が作品の中に入り込んでいないようで、誰かのマンガを読んでいる気分です。今までは自分の考えていたことをテーマに据えたり、キャラに言わせたりしていたおかげで作品との間に溝を感じませんでした。でも、今はわざとらしく感じるのでそれはしたくないです。主人公には感情移入出来ているのですが、どうしても私が描きたいとまで思えるものにならないのです。私が描く必要性を見いだせない、作り手の想いが見えてこない、そういったものを自分のマンガに感じます。自分の考えを入れるのは嫌だという一方で、作り手の想いを感じられないのも嫌だというのは矛盾にも思えますが、今、どうしても訴えたいようなテーマも無いのです。それでも、何か溝を埋めるものがあってほしいのです。色々と書きましたが、この憤りをどうにか解消できそうなアドバイスを下さるとありがたいです。

A:あなた自身の内面の問題なので、自分自身で解を見つけるしかありません。あなたが未だプロでないのなら、「マンガを描きたい!」という衝動が湧き上がるまでペンを置くのも手かと思います。あなたも漫画を描き始めた頃は、楽しいから描く、読んだときの読者の顔が楽しみ、という単純明解な気持ちだったはずです。マンガの意義はエンターテインメントです。テーマは送り手側が命の尊さとか愛の崇高さとかと大上段に振りかざすものではなく、送り手側が作品の中ににじみ出る作者の想いや考えから汲取るものです。読者を笑わせたい、感動させたい、切なさを伝えたい、わくわくさせたい、あるいはとびきり萌えさせる女の子を描きたいとかめちゃめちゃカッコイイ男の子を描いて溜め息をつかせたいということだって立派なテーマです。そうした作品の創作に真摯に取り組めば、自ずと作者の想いや考えは作品に込められます。視野狭窄に陥ってスランプになっているのでしたら、制作から少し距離を置いて、マンガを描くことは自分にとってどういうことなのか思い起こしてみるといいでしょう。