●ご兄弟多いですよね
だから、余計貧乏。
兄貴たちは漫画で育ってないと思う。
漫画を買う余裕ないし、兄貴たちは漫画じゃないよな。
誰も見てないよな、漫画はね。家ん中で漫画ってなかったから。
あの年代って漫画見てないよ。
俺たちの年代からだよ、漫画がポピュラーになっていったのは。
最初の読者としてね。
そうだそうだ、『イガグリくん』。そのほかにも『矢車剣之助』堀江卓?
それと…、『まぼろし探偵』、『鉄人28号』。
そのへんは俺は全部見てるさ、そりゃ、少年誌のエースはね。
その中で何が好きかっていったら、そのときどきではまるよな。
堀江卓にもはまったことあるし、『赤胴鈴之助』も見てるし…。
また、その中でも一番印象に残ってるっていったら『ストップ!にいちゃん』か。
関谷さんだよな。
あと、ギャグ漫画だよな。
どうしても欲しくて買ってたってゆーのは、
どうしてもそれが見たかったってのはねー、
『ストップ!にいちゃん』と『ごろっペ』と杉浦さんの漫画だよな。
俺はやっぱりコメディー指向だな。
[編集メモ]
*『イガグリくん』福井栄一 昭和27年〜29年、秋田書店 冒険王
*『矢車剣之助』堀江卓 昭和32年〜36年 光文社 少年
*『まぼろし探偵』桑田次郎 昭和30年代(32年〜)少年画報社 少年画報
*『鉄人28号』横山光輝 昭和30年代(31年〜42年)光文社 少年
*『赤胴鈴之助』武内つなよし 昭和29年〜35年 少年画報社 少年画報
●最近の先生の作品はシリアスなのが多いですよね
もう疲れた!
さすがにやくざばっかり書いてるといやだ。(笑)
●そのころの普段の遊びは?
野球か…、外で遊ぶのは野球。
あとはばくちが好きだったから、めんこ。
ほんと、そのころからばくち好き。(笑)
だからとりあえず、びーだま、めんこはもう命懸けでやってたよ。
遠征してやってたよ、隣村まで。
それで、むこうの強い奴とよくめんこやってたよ。
あれ、勝って帰るときはいいけど負けて帰るときの悲しさはねーんだよ。
今でもそのばくち好きの…、競馬場に行って帰るときの…、
勝って帰るのと負けて帰るのと、もうそのころから知ってるよ、俺は。(笑)
あとは魚釣り。
夏になると魚釣りやってるか、川で泳でいるか、実に健康的だよな。
だから、典型的な田舎の子よ。
外で遊ぶときは野球か川行って魚釣るか、泳ぐか。
それで、ちょっと時間があればばくち、めんこやってるっていう…。
●こづかいなんてのは?
ないないないない。ぜんぜんない。
だって新聞配達ずうっとやってたから。新聞配達、家族でやるんだよ。
子供たちが、子供6人が全部自分の分担して村中全部配って、
千円ぐらい、当時もらえたのかな…。
千円のうち、俺が50円もらって兄貴たちが100円ずつもらってて、
500円、半分とにかく親がピンハネするんだから。(笑)
そーいう家だから。
新聞配達も家計の助けのための新聞配達だからな。
それでちょっとおこぼれをもらうぐらいだから。
俺んちが特別っていうか、そりゃあ下を見ればまだいるよ。
上は、いっぱいいたし。
ただ、やっぱり純農だろ。
純農家で、子供6人いて、ばあちゃん、おやじ、おふくろでしょ。
そうすると9人家族でしょ。
純農家族で子供6人で9人で、当時学費、教科書代がただじゃないのよ。
全部有料なの。
それはだから、金なかったよ。
ほとんど現金収入がないわけだから、たんぼ5反歩くらいしかなかったし。
おやじとおふくろ、ほとんどガキのために働いてるようなもんだよな。
だから、百姓やってないときは人んちなんか手伝いに行ったり、
手伝いっていっても金もらってるわけじゃあないんだよなあ。
その日の飯、あとお酒1杯ぐらい飲ましてもらうくらいのかんじで。
だから、おやじの楽しみにしたらほんとに一日1合の焼酎飲むってのくらいが
楽しみだったろう。
んで、もう金がないときは、俺が酒屋行かされるの。
ちっちゃい子が瓶をかかえて。
当時、焼酎を秤売してくれるわけよ酒屋で、
で、おやじたちもつけたまってるから、
おやじたちじゃ売ってもらえないじゃない。
で、かわいい子供が、一番ちっこい子が瓶持って行くと、
しょうがねえなって入れてくれるわけだよ。
それをさ、帰りに落として割っちゃったときには、(笑)
もうどうしたらいいんだ俺はって、怖くて帰れないよ。
ほんとにそんなのいっぱいあるよ。
だから、まーた俺かいって、
しょうがないおまえしか売ってくれないからって、
よしゆきちゃん、かわいそう大変だねって入れてくれるから。
それを割ちゃったとかな……。(ため息)
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