●『素晴らしきバンディッツ』
【編集メモ】
* 『素晴らしきバンディッツ』 1979(S54)年1号〜1980(S55)年37号 週刊少年マガジン 漫画/峰岸とおる
万年最下位の山賊球団に高校球界ナンバー1の豪腕投手山郷陽太郎が入団し大活躍するプロ野球漫画。
そこそこだったよね。
でも、大ヒットってトコじゃないものね。
ライトな感じの…(のちの)ヤンマガ作品の臭いがとてもある…。
多分それを要求されたんだろうね、
ヤンマガの創刊のときに呼ばれたって言うのは。
『バンディッツ』も同じ編集(笑)。
峰岸さんは、芳文社とかそっちのほうでやってたんじゃないかな。
だから、メジャー誌っていうか、
いわゆる3社、講談社、集英社、小学館をメジャーとするならば、
そっちは初めてだったかもしれない、わからないけど。
●ずっと野球もので来て、また野球もの。何か期するものはありましたか?
どうだろうね……。
とにかく、少年マガジンに関しては…。
編集って大きな壁があってさ……。
なんて言うのかな、俺にとって当時は、
その編集の意見イコール少年マガジンの意見じゃないか。
そうすると…、あの人の考えって言うのは、
やりたいものあるかって聞いてくるんだけど、
ないって言うと、もういいよって。
だから、やっぱり野球ものが無難だったのかな………。
まあでも、勉強にはなったよね、ものすごく。
あの人と仕事したってのはね、うん……。
●当時、3社の編集とつきあって、違いとかはありましたか?
全然、体質が違うよ。
集英社っていうのは、ジャンプっていうのは、
原作者に対してある種叩き台ってイメージがあるわけ。
最初に漫画家ありきって…。
原作者にとっては勉強になるけどきついよね。
なんて言うのかな、連載中にあんまり原作者と漫画家を会わせない。
やっぱり、あいだに編集者がいて、編集者がその原作を持って行くっていう、
それまでに原作を完璧に仕上げといて、
それで編集と漫画家さんと2人で作る形式をとるから…、
だから、なんかやっぱり歯車の一つっていう扱いがあんのかな。
今はどうか知らない、当時はね。
小学館、講談社っていうのは、
最初に原作ありきって扱いするの、それか対当に扱ってくれるわけ。
そうするとなんて言うのかな、
原作つまんないとこんなもの持って行けないっていう形に…、
もちろん集英社もそうなんだけど…、
やっぱりなんて言うのかな、あくまで対等であるっていう感じ。
例えば、単行本の印税が、集英社は当時、
平松君新人、俺も新人、でも最初から印税6:4なわけ。
ところが、小学館と講談社はどんなにベテランと組もうが、
単行本5:5にしてくれるわけ。
そこがもう全然、基本的に原作者に対してのスタンスが違ってたよね。
だから、びっくりしたよ。
なんでこんなに原作者に対してやさしくしてくれるんだって(笑)。
だから、逆に集英社で最初に鍛えられたからよかったのかな。
増長しないですんだから。
増長するタイプでしょ、どっちかって言うと。
そのころ、『ドーベルマン刑事』が当たって、わあわあ騒いでるときに、
ちばあきおさんとお酒飲んでるときに、あきおさんが
ぶー、お前最近ゴーマンになったぞって(笑)。
それでおもいっきり説教されて、そんで直った。
あきおさんが酔っ払った席で、
ぶー、お前最近ゴーマンになってるぞ、ダメだぞって。
あれで言われなきゃあ…。
おもいきりへこんだよ。
わぁー、そう見えますかって言ったら、
見えるよーって(笑)。
そうだね、あんときおもいきり言われたからね。
飲み屋、いつも行く寿司屋で。
だめだよ、お前、そんなにゴーマンになっちゃ。
はい。
つぶれんのは早いんだぞ。
はい。
それはね、本当に感謝してるよ、うん。
あれがなかったら…、うん、ちょっと変わっていたかもね。
●『ワイルドウェイ』
【編集メモ】
*『ワイルドウェイ』 1981(S56)年 週刊少年マガジン 1号〜32号、35号〜53号 漫画/井上大助
本庁交通機動隊の一匹狼岩切勇作が並外れたパワーと重装備のスーパーバイクで悪を倒すハードアクション漫画。
『ドーベルマン刑事』みたいなものをやってくれって誰かが来たんだと思うよ。
これはいつもの編集じゃない。そのとき彼はモーニング編集部だから。
『ドーベルマン』をひっぱってやったんだけど、全然ダメで、
そのときは、やっぱり、
平松伸二との『ドーベルマン刑事』が強烈だったなってのがあって…、
井上君のせいじゃないんだけど、
もう出がらし…、俺の中でアクションでは何を書いても出がらしだし、
読者から見ても、あー、また同じことやってるなっていう感じで、
それは、やっぱ新鮮味がないからきついよね。
同じことやるっていうのはね。同じ系統をやるのはね…。
時間があればいいんだけど、これ、時間空いてなっかたから。
●『天まであがれ』
【編集メモ】
*『天まであがれ』 1981(S56)年39号〜1982(S57)年20号 週刊少年サンデー 漫画/金井たつお
東京下町・深川を舞台に若く純粋な的場伸太郎がデッカイ男になるために青春の血を熱くたぎらすボクシング漫画。
これは、『ファントム無頼』をやってるころに、
少年サンデーでもう1個書かないかって…。
これね、一部でよかったんだけど、やっぱり人気的には全然ダメで。
やっぱり、これ(作品歴)見てると結構空振りもしてるな。
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