●自分の作品の中で好きなキャラクターは?
やっぱり、悪役だね。
『北斗の拳』だと、ラオウ好きだし、
『サンクチュアリ』だと、渡海。
主人公っていうのはやっぱり傷がないでしょ。
本当にかっこいいわけ。
だけど、それはあくまでもストーリーの上のかっこよさで、
それは、俺が作り上げたものなの。
ところが、ラオウとか渡海っていうのは、
ちょっと生身の俺に近いとこあるでしょ。
悪の部分って、みんな持ってるわけでしょ、我の部分とか…。
それがストレートに出てるわけでしょ。
やりたいことはやるって…、
やっぱりどっちに憧れるっていったら…、
主人公のストイックな世界、俺、嫌だもん(笑)。
思うがままになぎ倒して生きるっていうのが、
やっぱりいいもん。
でも、それは主人公になりえないんだよ。
横にかっこいいヤツがいるから、それとの対比で目立つだけであって、
そいつ主人公に書いたら、ただの暴れん坊だからなぁ(笑)。
キャバクラ行っていきなりやっちゃうっていったらさ、
ただの嫌われ者だよ(笑)。
渡海とか主人公にやったら当たんない気がするんだけどな。
ヤクザ物であればウケるのかもしれないけれど、
でも、広がりがないよ。
一人のヤクザとして書けば、めちゃめちゃ面白いと思うけどね。
極道以外のストーリーが出ないと思う。
極道の中だけのストーリーだよ。
それに、池上先生の絵ってのがあるからね、
渡海がかっこよく見えるのは。
あと、コメディーのキャラクターは全部好きだよ。
ゼンさん大好き!(笑)
水野トビオのゼンさんは好きだな。
じじいのちゃっこよさってのはトビオは天下一品だから。
●他人の作品の中でやられたっていうキャラクターは?
最近?
あんまり人の漫画見ないからなぁ…。
動物かな。
イヌとネコの漫画大好きなんだよ、俺(笑)。
だから、イブニングの杉作の漫画必ず読んでるよ。
『ロッキー』と『クロ號』。
かかさず読んでますよ。
あと、『OL進化論』は(笑)。
イヌ、ネコは必ず漫画見ますね。
実は俺、とてもハートフルなんだよ(笑)。
作品で言えば、『バガボンド』かな。
ここまでのっこんで描くっていう、
井上雄彦くんの漫画に取り組む集中力っていうか、
ねばっこさっていうか…、
こいつ、疲れるだろうなってすごさを感じているよ。
あとは個人的なファンだけど、古谷実君の漫画だろうな。
あの危ういところがどこまで危うくなるのかって…、
ドキドキさせるじゃん、何気ない話で。
それとあと、漫画っていうか作家のファンになってるか…、
浦沢直樹くん。
もう若手の中では、浦沢、井上、古谷ってのはすごいよって言うくらい、
いいっていうか興味ある漫画家だよね、頭のいい。
もう、あの人達の時代来るんじゃないのっていうか、来てるか!
あとは俺達っていうか…、
本宮ひろ志とか、弘兼憲史とか、かわぐちかいじとか、
一応、見るけどね、同年代の頑張ってる人達のも。
●若い作家がキャラクターを作るときに、
どういうところを意識して書いたらいいと思いますか。
これね、センスなんだわ(きっぱりと)。
ストーリーにマッチしたキャラクターを作るわけでしょ。
こういうキャラクターがいるから、
こういうストーリーにしようという作り方と、
こんなストーリーがあるから、
こんなキャラクターをはめようっていう作り方と、
それによって多少は違うと思うんだけど…、
かっこいいストーリーだったら、かっこいいキャラクターを
作らなきゃいけないでしょ。
そうすると自分の中でこういうヤツがかっこいいいんだ
っていうのを描くしかないわけ。
その、作家がかっこいいって思うことが読者がかっこいいと思わなきゃ。
ズレてたらダメでしょ。
だからこれは、俺たちがどうこう言うんじゃなくて、
作家の持ってるセンスだから、
これはもうね、教えようがないと思う。
本当にセンスだから。
で、そのセンスって全部台詞に出るの。
だから、かっこいい台詞が出るっていうのはセンス。
それを主人公が言うわけだから、
それがかっこいいか、かっこよくないか、
作家がかっこいいだろうって主人公に言わした台詞に、
読者が何も反応しなかったら、かっこよくないってことだから。
そうすると、作家のセンスがズレてるってことだから。
例えば、女を口説くときに、
すっごい女の琴線に触れる台詞でポッと口説けるかどうか。
それも絶対センスでしょ。女を口説けるかどうかも。
それと全く一緒で、どんなに言葉を飾って言ったって、
女の子の心に入らなければ、口説けないわけでしょ。
それはやっぱり言葉のセンス、台詞のセンス。
そういうわけだから、
それじゃあ、おまえ、女はこうやったら口説けるよ
っていくら他人が言ったって、
ダメだね、それは。
じゃあ、なんで俺がキャバクラで外れてるんだよ!!(笑)
よくキャラクター作りって言われるけど、
本当にセンスだから。
あとは、ストーリーが勝っちゃってストーリーが行ってしまうと、
ストーリーの中に乗っけて行けばいいって形もあるけどね。
そうしてると、だんだんストーリーの中で、
成長していく主人公もいるから。
でも、それも全部含めて台詞だね。
極論だけど、「キャラクター=台詞」と俺は思ってるから。
※本文中( )内の表記、および[編集メモ]漫画街。氏名敬称略。
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(第11回 終)
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